空想科学編:アベマリオの秘密

皆さんこんにちは.キムワイパーです.

今回は空想科学編ということでアベマリオの秘密についてみていこうと思います.

ところで皆さんはアベマリオを覚えていますか? 2016年リオオリンピック閉会式での演出です.東京からリオデジャネイロへ通じる土管にマリオが飛び込んで,閉会式会場にワープしてくるというものです.ここでこんな疑問が浮かぶと思います.「もしも東京とその裏側に位置するリオデジャネイロを1本のトンネルで結んだらどうなるのか」.この疑問を科学的に考察していこうと思います.ただし「地球を歪みのない真球で東京の裏側をリオデジャネイロ,両都市の標高は同じ,空気抵抗は無視,地球の重力加速度gは中心の1点以外一様に分布し,その値を9.8 m/s²とする」といった条件を設定し,簡略化したいと思います.

まず今回の条件を図に示します.

アベマリオの身長体重は175 cm,70 kgです.この時にマリオにかかる重力は70×9.8となり,686 Nとなります.アベマリオが東京から静かにトンネルに飛び込んだとすると「686 Nの力で引っ張られながら地球の中心に向かって等加速度直線運動をする」と考えることができます.この時の運動の様子を図に示します.

 

この時の中心に到達するまでの時間を求めましょう.中心までの距離は地球の半径なので3185 kmとなります.これを等加速度直線運動の式に代入すると次のようになります.(式が分からないという方はスルーして構いません.以降同様です.)

3185000=0+0.5×9.8×t²  ,t=806 s

およそ13分で地球の中心まで到達することが分かります.次に中心での速度を求めたいと思います.加速度と到達時間が分かっているので速度を次のように求めます.

v=0+9.8×806    , v=7899 m/s

28436 km/hというとてつもなく速い速度になります.音速は340 m/sであり,音速を超えているため周囲に空気の衝撃波がまとわっています.

ここまででアベマリオは地球の中心にやってきました.続いて地球の中心からリオまでの運動の様子を考えてみましょう.この時のアベマリオは「初速7899 m/sで進行方向とは逆向きに686 Nで引っ張られながら等加速度直線運動を行う」と考えることができます.この時の運動の様子を図に示します.

中心からリオまでの到達時間を求めましょう.中心からリオまでの距離は地球の半径なので3185 kmとなります.これを等加速度直線運動の式に代入すると次のようになります.

3185000=7899×t-0.5×9.8×t²  ,t=806 s

およそ13分で地球の中心まで到達することが分かります.つまり,東京→中心と中心→リオは同じ時間であることが分かります.つまり,東京からリオにつくまでには26分かかることになります.同様にしてリオに到着時の速度を求めたいと思います.加速度と到達時間が分かっているので速度を次のように求めます.

v=7899-9.8×806    , v=0 m/s

リオに到達するときには速度が0 km/hになります.つまりアベマリオは土管の出口で何かにつかまらないと再びトンネルに落ちてしまうというわけです.もしつかめないでいると東京とリオを永遠に往復することになります.これを解決するには東京からトンネルに入るときに初速度を与えてあげればよいです.初速度があれば中心での最大速度は上昇し,リオでトンネルから出るときに初速分上昇することができるので何かにつかまる必要が無くなります.演出を見てもジャンプしてから入っているのでその辺の問題は解決できたのでしょうね…実はアベマリオは頭のキレがよかったのかもしれません.

話を戻すと,リオに到着したときは速度が0になりました.これは東京でトンネルに入るときに初速を与えなかったためです理由をグラフでします.次のグラフを見てください.

時間対速度で取ったものになります. 速度のグラフはある点までは比例して増加し,ある点を境に比例して減少して,最終的には0になっています.これは上で求めたように地球の中心で速度が最大になってリオで0になることを表しています.また,中心を境とした2つ三角形は等しくなります.この面積はアベマリオの移動した変位を表しています.東京→中心と中心→リオが時間と変位の2つが等しいといえます.のこのように物理の公式とグラフは密接しているので,公式を暗記するだけでなく,グラフまで理解して状況設定に応じて書けるようにするとよいです.本稿では省きますが,運動とグラフを用いた考え方は微分積分を用いて説明できるので余力があれば取り組んでみてください.

今回は東京⇌リオ間トンネルについて考えてきましたが,実際の地球は真球ではありませんし,空気抵抗などの諸々条件は無視できません.そのため実際はもっと違う結果になると思います.しかしこういったばかばかしい空想科学でも考えることは楽しいと思います.何より普通に物理を学ぶよりも本質を理解できるようになるのかなと思います.皆さんも時間のあるときに空想科学に挑戦してみてはいかがでしょうか.

それでは

キムワイパー

 

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キムワイパー

キムワイパー

主に新聞部で自然科学のことや空想科学についての投稿を行っています. 化学と物理が好きです. 稚拙な文章ですが応援よろしくお願いします.

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