皆さんこんにちは.キムワイパーです.
今回はいつもの新聞部モードと違い,実験を行いました.(相当前ですが…)身近な洗剤である石鹸を実験室で合成しました.今回は石鹸についてとその合成過程について記事にしたいと思います.なお,本実験は設備の整った実験室で安全管理者立会いの下で行っております.また,危険な試薬を使用しております.実験室以外で真似しないでください.当方は責任を一切負いません.
1.石鹸とは
石鹸は油脂を強塩基によって鹼化(けん化)されることによって生じる物質です.この反応の一般的な反応式は次のようになります.
また,構造は次のような高級脂肪酸塩になっています.高級脂肪酸とはカルボン酸(RCOOH)においてRの炭素数が10以上の物です.この「10」という数字は明確な定義ではなく,目安ととらえてください.今回はこの高級脂肪酸にサラダ油(リノール酸,リノレン酸,オレイン酸)を用いました.
ではなぜ石鹸は汚れを落とすことができるのでしょうか? 石鹸の構造の模式図を下に示しました.
石鹸には水と仲の良い親水基(青)と油と仲の良い疎水基(黄色)があります.この2つの性質が1分子にあることで石鹸としての力を発揮します.
汚れている溶液に石鹸を投入します.
すると図のように石鹸分子が集まって汚れを取り囲んで引きはがします.この時,汚れを中心に疎水基が内側,親水基が外側を向く構造を作ります(ミセル).これによって汚れが落ちるわけです.石鹸の性質としてこのほかに,水溶液が弱塩基性である点,酸性溶液中で使用できない点,硬水中で使用できないことが挙げられます.また,動物繊維などには石鹸を用いることができません(タンパク質が変性するため).これだけ聞くと石鹸は使い勝手が悪そうですが,一番簡単に合成ができる洗剤なのでコスパが良いことが挙げられます.自宅でやろうにも水酸化ナトリウムが劇薬なのは残念ですよね…
2.石鹸の合成
再度になりますが
本実験は設備の整った実験室で安全管理者立会いの下で行っております.また,危険な試薬を使用しております.実験室以外で真似しないでください.
それでは実際に合成した過程について説明していきます.まずは実験に用いた試薬と器具の紹介をします.
・試薬
サラダ油,水酸化ナトリウム,エタノール,塩化ナトリウム
・器具
任意サイズビーカー,メスシリンダー,ガラス棒,プラカップ,パラフィルム,ホットスターラー,撹拌子,温度計,ゴム板,シャーレ,ろ紙,軍手
まず,サラダ油10 gと6 mol/L水酸化ナトリウム水溶液(事前に調整済み) 10 mLとエタノール10 mLをビーカーに加える.
↑混合時のビーカーの様子
この状態で反応液が70℃になってから30分間湯浴加熱をする.(加熱後の写真が消えてしまいました…すみません)
飽和塩化ナトリウム水溶液に反応液を入れる.
↑飽和塩化ナトリウム水溶液中の反応液
析出した物質をろ紙で濾してシャーレに出す.(吸引ろ過すればよかったと思ってます)
ビーカーに入れ,上から穴あきパラフィルムで覆う.
乾燥後,完成
↑完成した石鹸
こんな感じの石鹸ができました.
乾燥後の石鹸はキレイな白色となっていました.この石鹸を使ったところ天ぷらのにおいがして洗濯には向かないことが分かりました.サラダ油で石鹸は作るなということですね.やるならもっとマシなにおいの油にしておけばよかったです.油の種類による洗浄力の評価など掘り進めていくことが可能であると感じました.
新聞部のみならずこういった実験記事を書くのも楽しいものですね.
それでは.
キムワイパー
追記
合成から半年たったら黄色に変色し,においが強くなっていました…

キムワイパー
