[第44回おうちラボで実験してみた]コワすぎ!ドッキリやコスプレに使えるリアルな血糊を作ってみた。

〈無機化学?〉

みなさんこんにちは。
今回は化学実験とは少し違う記事を書こうと思います。それは血糊作りです。血糊とは映画やドラマなどの殺傷シーンで使われる血液に似せた芝居小道具です。本物の血液を使うわけにはいきませんからね。今回はそれをつくってあそぼというわけです。

●なんで血糊作るん。
さて、血糊を作る目的ですが「なんか面白いから」です。中の人、実はホラーとかサスペンスとか大好きで特にスプラッター映画(腕とか首が吹っ飛んだり身体がバラバラになったり大量に血液が噴き出したりする人体破壊描写が多いグロ映画)なんかをよく見ます。だから血糊好きなんですよね。一種のフェティシズムでしょうか。いやそれはキモいな。
冗談はさておき血糊の使い道って言ったら大量流血ドッキリを仕掛けるかコスプレや特殊メイクに使うかくらいですが、作ると案外楽しいものです。みなさんも良き血糊ライフを送ってみましょう。

●血糊について
僕が血糊作りに目覚めたのは小5の頃。ホラー映画でふんだんにぶち撒けられる血糊に憧れて作り始めました。ここで僕が言いたいのは血糊の「リアルさ」です。血糊ってただの赤い水じゃないんですよ。より本物の血液に似せるために絶妙な粘度(ドロドロ感)と赤黒さを持たなければなりません。これを追求してレシピを完成させるのに相当な年月をかけました(そもそも日頃から血糊作らない)。
さて、血糊は一応市販されていますが、100均とかの安物は本当に安っぽくて血糊なめとんのかと言った感じです。やたらサラサラしてたり色がピンクっぽかったり薄かったり。一方プロ仕様の血糊は本当にリアルです。色が濃くて伸ばすと独特の血赤色といいますか赤褐色をしていて流石特殊メイクの現場で使われるだけあるなと言った感じです。しかしまあ高い。100mLで1000円くらいします。なので結局作っちゃった方が安いし自分好みの色合いに仕上げられるので手作りはメリットがあるわけです。
余談ですが僕は高1の頃文化祭でグロめのお化け屋敷の総監督、主に特殊造形担当を務めておりまして、そりゃもうふんだんに手作りの血糊を使ってやりました。血糊を手作りすればこんなこともできるよとお伝えしときます。趣味悪いですね。



●血糊の作り方
ここで僕が辿り着いた血糊の作り方は2種類。
①食紅法
②化学法
①の食紅法は名前の通り食紅を使った血糊の作り方でオーソドックスなものです。食品添加物なので口に入れても皮膚についても安心安全な血糊。ハロウィンで血まみれのコスプレをする人は大体これ。水に食紅をぶち込むだけの手軽さですが、リアルさを追求するためにはドロっと感を足します。もし口に入れることを想定しているならハチミツや水飴、温めた水溶き片栗粉を、別に口に入れないのなら洗濯ノリを使うと良い感じです。
②の化学法は薬品を使います。一応このサイト化学実験メインに扱ってるので化学の力でも血糊作れるよ〜ってことをアピールしておきます。使う薬品はチオシアン酸カリウムと塩化鉄(Ⅲ)。2つの水溶液が反応すると咄嗟に血赤色になります。この反応自体は高校の無機化学でも習います。反応式は次の通り。
Fe³⁺+SCN⁻+5H₂O→[Fe(SCN)(H₂O)₅]²⁺
鉄(Ⅲ)イオンにチオシアン酸イオンが配位して錯体を作ります。この錯体が赤黒いわけです。そして色合いがすごくリアル。
この化学反応はよくマジックに使われます。鋭くないナイフと皮膚に2つの水溶液を予め塗っておいて接触させた瞬間に流血!しかし痛みは無いし、血を拭き取ってみると傷口は消えてる!みたいな。マジックブラッドとかそんな名前で売られてた気がします。

ただし、薬品を使っているので口に入れるような用途には使用しないでください。あと皮膚が弱い人はあまりオススメしません。

●実験
〜材料〜
・食紅(赤)
・食紅(黄)
・食紅(緑)
・洗濯ノリ
・チオシアン酸カリウム
・塩化鉄(Ⅲ)無水物

〜器具・装置〜
・ビーカー
・攪拌棒
・適当な保存容器

〈血糊の作り方〜食紅法〜〉
①食紅(赤)2本を適量の温水に溶かす。


②食紅(黄)を1本入れてよく溶かす。


③食紅(緑)を付属のスプーン3〜4杯加えてからよく振って溶かす。好みの赤黒さになるまで食紅(緑)を加える。


④洗濯ノリ250mlを加えてよく振る。血糊を口に入れる(吐血の演出など)ことを想定する場合は洗濯ノリの代わりに水飴などを加えて好みのとろみに調整する。

⑤手に垂らしてみて使用感を確認する。

〈血糊の作り方〜化学法〜〉
①チオシアン酸カリウム5.0gを適量の水に溶かす。

②塩化鉄(Ⅲ)無水物8.3gを適量の水に溶かす。

③チオシアン酸カリウム水溶液と塩化鉄(Ⅲ)水溶液を混ぜ合わせて300mLにする。

④洗濯ノリ300mLを加える。

⑤手に垂らしてみて使用感を確認する。

めでたく血糊を作ることができました。
この記事を公開してる頃にはとっくにハロウィンは過ぎていますが、どこかの機会で血糊を使うことがあれば是非参考にしてみてください。それではさよなラジカル。

えざお

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えざお

えざお

記事執筆担当 アングラ化学部 バイオ部プロフィール
化学部・バイオ部のおうちラボケミスト兼バイオハッカー見習い。まだまだ勉強中の青二才。一応環境分析化学専攻だったりする。有機化学が好き。自信は無いのでどうかお手柔らかに!

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