[第14回おうちラボで実験してみた]蛍光色素のフルオレセインを合成してみた。

〈座学〉有機合成化学・光化学

みなさんこんにちは。
今回は蛍光色素としてとても有名なフルオレセインを合成していきたいと思います。

蛍光ペンや顕微鏡の蛍光観察用染色剤、その他着色剤として身近なところに使われており、特徴的な美しい黄緑色の蛍光色を示します。蛍光大好き人間としては是非とも自身の手で合成してみたいのです。合成実験自体は化学実習でも扱われるくらいの簡単なものです。早速基礎知識からいきましょう。

●蛍光物質について
せっかくなのでフルオレセインだけでなく身近に存在する蛍光物質を紹介していきたいと思います。紫外線ライトを照射すると爆光するものは案外身の回りに沢山あります。たとえば黄色い栄養ドリンクやパイン飴。これらにはリボフラビン(ビタミンB2)が含まれており、紫外線を当てるとめちゃくちゃ光ります。


蛍光ペンは名前からして蛍光することがわかります。有名なものでいうとローダミンBなんかが含まれています。これはケミカルライトにも含まれています。


洗濯した後のシャツも紫外線を当てるとめちゃくちゃ光ります。シャツを白く見せるために蛍光増白剤が含まれているからです。


植物に含まれる緑色の色素であるクロロフィルは光化学系反応に関与するためよく蛍光します。白色光では緑色なのに紫外線を照射すると真っ赤になります。エネルギーが低く波長の長い赤色光を放出するからです。

色素以外では微量の不純物が蛍光に貢献している場合もあります。ウランガラスや宝石のルビーが有名でしょうか。それぞれ微量のウランやクロムが含まれています。


珍しいものでいえば緑色蛍光タンパク質(GFP)があります。GFPは発見と分離精製の研究で2008年ノーベル化学賞が贈られています。GFPを合成するよう遺伝子操作が行われた蚕は光る繭を作るようになります。

これらの蛍光物質には全て共通して、波長が短くエネルギーの高い光を吸収して励起状態(元気な状態)になり、基底状態(普通の状態)に戻るときにいらなくなったエネルギーを可視光領域の波長(エネルギー低め)で放出することで発光する性質があります。これが蛍光という現象なのです。
蛍光物質は化学やバイオテクノロジーの分野で盛んに研究され、日常の様々な場所で利用されている身近な科学技術なのです。

●フルオレセイン合成について
フルオレセインはレゾルシノールと無水フタル酸のFriedel-Crafts反応で合成できます。反応機構は以下です。

無水フタル酸のカルボニル炭素にレゾルシノールが求核攻撃します。無水フタル酸1分子に対してレゾルシノールが2分子反応します。その後レゾルシノール同士のOH基が脱水縮合を起こしてフルオレセインが合成されます。フルオレセインに塩基を加えるとOH基からプロトンが引き抜かれて電子が移動し、より強い蛍光を示す構造へ変化します。ちなみにこの反応、レゾルシノールをフェノールに置き換えると酸塩基指示薬としてお馴染みのフェノールフタレインができます。

塩基を加えると構造が変わって色が変化するという点で共通していますね。

それでは次回実際にインスタ映え間違いなしのフルオレセインを合成してみましょう。
実験編までさよなラジカル。

えざお

実験編はこちら
[第14回おうちラボで実験してみた]蛍光色素のフルオレセインを合成してみた。

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えざお

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記事執筆担当 アングラ化学部 バイオ部プロフィール
化学部・バイオ部のおうちラボケミスト兼バイオハッカー見習い。まだまだ勉強中の青二才。一応環境分析化学専攻だったりする。有機化学が好き。自信は無いのでどうかお手柔らかに!

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