[第1回おうちラボで実験してみた]ケミカルリサイクルを体験してみよう!

〈座学〉 合成高分子化学・リサイクル工学

突然ですが皆さん、ペットボトルを使ったことはありますか?
使ったことが無いと言う人の方が少ないでしょう。飲料の容器は身の回りに溢れかえっていますね。それくらい身近な素材です。
ではでは、そんなペットボトルはどのようにリサイクルされてるか知ってますか?
ペットボトルは回収後、細かいフレーク状にされ繊維や様々な成型品などに加工されています。しかし、最近では「化学分解法」と呼ばれる方法が確立しつつあり、原材料に戻して再度作り直すという手法が取られています。

またまた質問。
みなさんペットボトルはどんな素材かご存知ですか?よくPETなどの表記を目にするでしょう。ペットボトルのペットはPETだったりします。これは「ポリエチレンテレフタラート」(PolyEthylene Terephthalate)という物質の頭文字を取ったものです。その名の通り、
テレフタル酸と呼ばれるジカルボン酸とエチレングリコールと呼ばれる2価アルコールを脱水縮合させたものになります。

※テレフタル酸はベンゼン環の水素がカルボキシ基にパラ位で(向き合うように一直線に並んでる状態)置換されてる構造をもつ。オルト位ならフタル酸、メタ位ならイソフタル酸と呼び名が変わる。互いに構造異性体。
※エチレングリコールは炭素2つにヒドロキシ基が1つずつ結合した2価アルコール。
※脱水縮合の様子。エチレングリコールのヒドロキシ基のHとテレフタル酸のカルボキシ基のOHが水となって脱水し、エステル結合(-COO-)をもつ。
これが連続的に起こることによって高分子のポリエステルとなる。

画像はwikipediaから引用

さて、今回はペットボトルのケミカルリサイクルを体験する、という名目で実験をしていくわけですがそれについて理解しておきたいことがいくつかあります。

●加水分解について●
加水分解はいわば脱水縮合の逆です。
高分子エステルであるポリエチレンテレフタラートは加水分解をすることで元のカルボン酸(テレフタル酸)に戻すことができるのです。普通の加水分解では酸触媒を用いて水などで行いますが、今回は塩基を用いて加水分解を行います。このような反応を鹸化(けんか)と言います。

●弱酸遊離反応●
弱酸遊離反応とは弱酸を含む塩(カルボン酸塩)と強酸を反応させると弱酸が遊離、正塩が生成する反応です。カルボン酸塩などの弱酸を含む塩は弱酸+強塩基型の塩なので弱塩基性です。そこに強酸を作用させて中和させていると考えても良いです。
塩基によって加水分解(鹸化)を行った場合、直接カルボン酸になるのではなく、カルボン酸塩を経由します。これに強酸を作用させると弱酸遊離反応を起こして今回の実験の場合ではテレフタル酸が沈殿として析出するのです。

さてさて座学パートはここまで。
次回はいよいよ実験パート!
それでは、さよなラジカル。

えざお

 

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えざお

えざお

記事執筆担当 アングラ化学部 バイオ部プロフィール
化学部・バイオ部のおうちラボケミスト兼バイオハッカー見習い。まだまだ勉強中の青二才。一応環境分析化学専攻だったりする。有機化学が好き。自信は無いのでどうかお手柔らかに!

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