フタル酸と尿素からルミノールを合成してみた

どうも、おーたむです。

今回はルミノールを自分で合成してみようと思います。
ルミノールは化学発光する物質として有名ですが、たった1gで3000円ぐらいする高価な薬品です。
自分で作れば安くたくさん手に入るのではないかと思い、合成してみることにしました。

ルミノールは3-ニトロフタル酸とヒドラジンを反応させた後還元することで作れます。
しかしこれらの原料は入手困難であるため、原料を合成するところから始めます。
今回の合成の全体像はこちらです。

①フタル酸の合成

手元に有機溶剤のフタル酸ジメチルがあるため、これを使って合成することにします。
フタル酸ジメチルが手に入らない場合は、ビニル手袋に含まれる可塑剤「フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)」を抽出し、これを用いて同様に合成することができます。
これらのフタル酸エステルを加水分解することでフタル酸を得ます。

フタル酸ジメチルに水酸化ナトリウムを加え、グツグツと煮ることで加水分解をしました。
高温の水酸化ナトリウム溶液は非常に危険なため手袋と保護メガネを忘れてはいけません。
二層に分離していて、上層がフタル酸ジメチルです。
加水分解が進行するとフタル酸二ナトリウムとメタノールに分解し、どちらも水に溶けるため混ざって一層になります。

加熱してメタノールは飛ばしました。
メタノール蒸気は有害であるため必ず排気設備のある場所で行います。

さらに加熱を続けて水を飛ばすと、ねちょねちょなモノができました。
これがおそらくフタル酸二ナトリウムです。

塩酸を加え、弱酸遊離反応によりフタル酸を遊離させます。
ねちょねちょのモノがフワフワになりました。

ろ過。
めっちゃたくさんできてます。
吸引ろ過装置があればそちらが好ましいですが、無いので自然ろ過で頑張ります。
(ホットプレートの上に置いてるけど別に加熱してるわけではありませんw)

というわけで大量のフタル酸ができたので次にいきます。

②フタル酸のニトロ化

フタル酸をニトロ化します。
ニトロといっても爆発物ではないのでご安心を(爆発物なんか作ったら捕まるw)
ニトロ化は濃硝酸と濃硫酸を使いますが、濃硝酸がないので硝酸カリウムで代用しました。
フタル酸と濃硫酸と硝酸カリウムを混ぜて湯浴で2時間半加熱しました。

硝酸カリウムは濃硫酸と反応して硝酸になるので、それによってニトロ化されるはずです。
手についたら終わりなので手袋は二重に。保護メガネ必須。
本当はフタル酸を無水フタル酸にしてからニトロ化するようですが、うっかりフタル酸のまま反応を仕掛けてしまいました。
これは完全にミスったと思いましたが、濃硫酸の脱水作用によって系内で無水フタル酸が生成すると思うのでそのまま続けます。
フラスコが茶色くなっているのは二酸化窒素が発生しているためです。
二酸化窒素は非常に有毒なガスで、吸い込むとヤバいので重曹水溶液に通して無害化します。
念のため排ガスをもう一度重曹水溶液に通した二重トラップにして、さらにフルパワーで換気をしています。


加熱を続けるとどんどん二酸化窒素が出てきてフラスコ内は真っ赤に。
これ全部毒ガスです。
本当にヤバいので無害化はしっかり行う必要があります。
また、硝酸はゴム栓を溶かすのでスリガラスの器具を使わなければなりません。

反応終了後、内容物をエタノールで抽出して再結晶しろ過。
うっすら黄色い粉が得られました。
きっとニトロフタル酸のはず…!
ちなみに3-ニトロフタル酸か4-ニトロフタル酸かは分からないし単離する術がないのでこのまま使うことにします。
本当はそんな適当ではダメですが、まぁ今回は別に生成物の純度は気にしないので。

さてこの反応ですが、未反応のフタル酸と思われる白色粉末が大量に回収されました。
15gも仕掛けたのにニトロフタル酸らしきものはたった1g。
無水フタル酸にしなかったことと、濃硝酸を使わなかったのが敗因だと思われます。
もはやルミノールをたくさん作るという夢は叶わなくなりましたがせっかくここまで来たので最後まで頑張ります。

③硫酸ヒドラジンの合成

次はヒドラジンを作ります。
ヒドラジンは医薬用外毒物に指定されているマジでヤバい薬品です。
毒物ということは劇物よりヤバいのです。
作っても別に違法ではないですが、数gで致死量に至るような物質であることを頭に入れて実験を進めていきましょう。
ヒドラジンはアルカリであり、酸で中和して塩にしてしまえばある程度安全に扱えます。
というわけで塩である硫酸ヒドラジンを合成することにします。
硫酸ヒドラジンなら普通物(劇物でも毒物でもない)です。
とはいえ、アルカリ性にすれば毒物ヒドラジンが発生することには注意しなければなりません。

ヒドラジンの原料は簡単に手に入る尿素です。
尿素を酸化することでヒドラジンを得ます。
前述のとおりヒドラジンはマジでヤバいうえに、
スーパーに売っているような原料で合成できてしまうので詳細は伏せます。
↓尿素を酸化中の水溶液

尿素の酸化でヒドラジンを生成させたら、硫酸を加えて中和。
溶液を冷やすと硫酸ヒドラジンが結晶化したのでこれをろ過して硫酸ヒドラジンの結晶を得ました。

本当にヒドラジンか確かめるために、酸性過マンガン酸カリウム水溶液に硫酸ヒドラジン溶液を加えてみた結果がこちら。


過マンガン酸カリウムの紫色が消えました。
これはヒドラジンの還元力によって還元されたということです。

というわけで原料であるニトロフタル酸と硫酸ヒドラジンが揃いました。

さて、もう一つ必要な薬品があります。
酢酸ナトリウムです。
酢酸ナトリウムは容易に手に入る薬品ですが、手元に無かったため酢酸を重曹で中和して作りました。

酢酸ナトリウムといえば過冷却で有名な物質です。
ついでにそれもやりたいなと思い、たくさん作ることにしました。
すごい勢いで二酸化炭素が発生しています。
一気に全部混ぜると噴きこぼれます(ギリギリセーフだった)

というわけで酢酸ナトリウムができました。
ちなみに過冷却は何度やっても失敗しました。
うまくいったらまた今度記事にします。

④ルミノール前駆体の合成

ニトロフタル酸、硫酸ヒドラジン、酢酸ナトリウムを混ぜて少量の水を加えて加熱。
すべて溶けました。

水の沸点以上の温度で加熱する必要があるので、ここでグリセリンを加えて沸点を上げます。
さらに加熱すると謎の沈殿物が生成し、突沸しました。

突沸して噴きこぼれてくるのでこれはまずいと思いフラスコに移しました。

硫酸ヒドラジンと酢酸ナトリウムが反応し、硫酸ナトリウム、酢酸、ヒドラジンが生成します。酢酸は沸点に達して飛んでいきます。
生成したフリーのヒドラジンがニトロフタル酸と反応し、ルミノール前駆体が生成します。
しばらく加熱すると謎の沈殿物が溶け、カラメル色のドロドロしたものになりました。

冷まして水を加えると茶色いものが沈殿しました。

ろ過。
ねちょねちょしてます。
これがおそらくルミノール前駆体。
うんk(ry

⑤ルミノールの合成


ラスト!
さっきの茶色いねちょねちょをハイドロコンクで還元します。
ハイドロコンクは藍染めに使われる還元剤として市販されています。
腐ったキャベツみたいなニオイがしてびっくりしました。

さっきの茶色いねちょねちょを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、ハイドロコンクを加えて加熱。
ハイドロコンクがマジで臭い。勘弁してくれ。

茶色→黄色になりました。
きっと還元がうまくいったのでしょう(適当)

酢酸を加えて水酸化ナトリウムを中和するとやや濁った液になりました。
これをろ過するとルミノールが得られるはずです。
ろ過した結果がこちら。

ほぼなんも無ェ!
でもちょっとだけカスみたいのがろ紙についてる。
これがルミノールだと信じたい!
そうじゃなかったらさすがに泣く!

というわけでこのカスを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、
酸化剤としてオキシドールを加えました。
ここに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えると、
もしルミノールができていれば光るはずです。
光ってくれ…!頼む…!!
結果はこちら

キエエエエエエエ!!!!ヒカッタアアアアアアア!!!!!!

ヤベェエエエエ!!!
出来た、マジで合成出来た。
あんなクソ雑だったけど一応出来ました。
自分で作ったルミノールがちゃんと光るという感動。
一回遊んだらもう無くなっちゃったけど、作れるということは分かりました。

課題はニトロフタル酸の合成ですね。
もしかしたら再チャレンジするかもしれません。
というわけで今回は、めちゃくちゃ微量のルミノールが合成できた!という結果でした。

それではまた次回

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おーたむ

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みくあす管理人プロフィール
映える化学実験を求めてMyラボで遊んでる人。毒劇物取扱者及び危険物取扱者(甲種)の資格所持者。

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