前回の記事で安息香酸を作りましたが、今回はそれを使って実験をしてみようと思います。
安息香酸は強熱すると脱炭酸が起こってベンゼンが出来ます。
ということは安息香酸に置換基が付いたものを強熱すれば、ベンゼンに対応する置換基が付いたものが得られる???
実際、安息香酸にヒドロキシ基が付いている物質(サリチル酸)を強熱すると、ヒドロキシ基の付いたベンゼン、すなわちフェノールが得られます。
というわけで今回は、安息香酸をニトロ化したニトロ安息香酸を作り、それを強熱してニトロベンゼンになるか実験してみようと思います。
ちなみにニトロ安息香酸もニトロベンゼンも爆薬ではないので法的には問題ありません。
まずは安息香酸をニトロ化していきます。
カルボキシ基は電子吸引基であるため、ニトロ化しにくいです。
なので混酸でグツグツ煮込んで無理やりニトロ化します。
このように器具を組みました。
フラスコに濃硫酸と安息香酸を入れ、滴下漏斗から濃硝酸を滴下していきます。
混ぜただけでは反応しないと思われるのでオイルバスで1時間ほど還流しました。
有害な二酸化窒素がモリモリ出てくるので塩化カルシウム管に消石灰を入れて吸収します。
排ガスは念の為さらに重曹水に通してから局所排気装置で排気しています。
茶色い気体が有毒な二酸化窒素です。
消石灰トラップの先は茶色くないのでしっかり吸収できているようです。
この加熱で脱炭酸しないかなと思ったのですが、流石にこの程度の温度ではしないようです。
ニトロ化できたのか謎。
溶液はオレンジ色になっていましたが、冷やすと固まって白い固体になりました。
次にコイツを強熱して蒸留し、ニトロベンゼンが出てくるか確かめます。
排ガスはお馴染み消石灰トラップに吸収させます。
しばらく加熱すると段々黒くなっていき、そして突然…
ボンッと吹き飛んで消し炭になってしまいました。
冷やしてから洗って確認してみてもニトロベンゼンらしきものはできていませんでした。
ニトロベンゼンの匂いも全くありません。
完全にただの炭素でした。
さようなら…

たむ
