緑礬から濃硫酸を作ってみた【自宅ラボLv9】

記事:おーたむ

今回は濃硫酸を自作します。

自宅ラボLv9:有害物質を扱う危険な実験
有毒ガスが発生します。
局所排気装置無しで実験してはいけません。
参考→【レベル別】自宅化学実験マニュアル

硫酸は工業的には、硫黄を燃やして得た二酸化硫黄を五酸化バナジウム触媒下で空気酸化して三酸化硫黄として水と反応させて合成します。
ですがこの方法は実験室で再現するのは困難です。
そこで今回は硫酸が工業的に生産されるようになるより前の話、錬金術師が硫酸を作るのに使っていた手法でやってみることにします。
錬金術師は硫酸塩の蒸留により硫酸を得ていました。
天然に得られる硫酸塩としては芒硝(硫酸ナトリウム)、石膏(硫酸カルシウム)、明礬(硫酸アルミニウムカリウム)、緑礬(硫酸鉄)、胆礬(硫酸銅)などがあります。
イオン化傾向の大きい金属の塩は分解するのに大きなエネルギーがいるため、分解しやすい緑礬や胆礬を使うのが良いでしょう。
実際の鉱石を使うのはもったいないので今回は試薬を用います。
硫酸銅は劇物なので入手しやすい硫酸鉄(緑礬)を用いることにしました。
緑礬は天然以外にも黄鉄鉱を高温で空気酸化することでも得ることができます。
これを加熱分解することで弁柄(酸化鉄)と硫酸に分解するため、江戸時代には顔料である弁柄を作る時の副産物として硫酸が得られていたようです。
それではさっそく緑礬から濃硫酸を作ってみましょう。


装置のセットアップです。
フラスコに硫酸鉄を入れて加熱し、出てきたガスを冷却して集めます。
いきなりですが上の画像の配置はアウトです。なぜでしょうか。
ヒントは中学理科で習う「炭酸水素ナトリウムの熱分解」です。
試験管を下に傾けるんでしたね?
さもないと出てきた液体が加熱部に流れ込んできて器具が割れるからです。
上の配置も同様。
出てきた液体が上部で冷やされて落ちてくるのでフラスコが割れます。
というわけでアウトなのですが、こうする他にどうしようもなさそうなので割れないことを祈りながら強行することにします。
絶対に真似しないでください。

それでは加熱をしていきます。


結晶水が飛んで色が抜けていきました。
さらに加熱すると分解して硫酸ガスが発生します。
それが冷却されて受けフラスコに硫酸が集まります。
排ガスは重曹水に通じて無害化していますが、念の為ガスマスクをしてドラフト内で実験しています。


液体が溜まっています。
ほとんど結晶水だと思うので薄そうです。

緑礬は茶色くなりました。
これはおそらく弁柄(酸化鉄)ですね。
緑礬から顔料である弁柄を得ることに成功しました。
まだ反応が終わってない部分もありますがフラスコが割れると嫌なので早めに切り上げました。


得られた液体を万能試験紙でチェックすると強酸性でした。

得られた液体に塩化バリウム水溶液を加えると白濁しました。
これは硫酸バリウムの沈殿だと考えられるので、ちゃんと硫酸ができているようです。
このままだと薄いので煮詰めて水を飛ばし、硫酸を濃くしていきます。


ほとんど無くなってしまいましたがビーカーの底にわずかに液滴が残りました。
これがおそらく濃硫酸です。
紙を押し付けてみましょう。

見事に紙が炭化しました。
というわけで、ごく微量ですが緑礬から濃硫酸を合成することに成功したようです。

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