今回は、アゾ染料の一種であるp-ヒドロキシアゾベンゼンを作ってみたいと思います。
ルートマップはこちら。
まずはベンゼンのニトロ化。
濃硫酸に濃硝酸を少しずつ加え、ベンゼンを加えて60℃ぐらいに加熱。
温度が上がりすぎるとジニトロベンゼンが出来てしまいます。
勝手に発熱して温度が上がっていくので適度に冷やします。
オレンジになり始めるとジニトロベンゼンが出来ている可能性があります。
冷却が追いつかず、この後若干オレンジになりました。
油層を水洗。
ニトロベンゼンのかわいい油滴が出来ています。
次はニトロベンゼンを還元してアニリンを作ります。
よく用いられる方法は、スズと濃塩酸と一緒に加熱するべジャン還元と呼ばれる方法です。
しかしあの方法、沈殿物がモリモリ出来て抽出しづらいのであまり好きではありません。
というわけで今回は別の方法を試してみます。
水酸化ナトリウム水溶液にハイドロサルファイドを加え、そこにニトロベンゼンを投入。
しばらくグツグツ煮込むと全部溶けて黄色の液が出来ました。
表面に若干何かが浮いているのでこれがアニリンだと思います。
ジクロロメタンで抽出し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えてみると濃い紫色に呈色。
アニリンが出来ているようです。
その後希塩酸を加えてアニリン塩酸塩にしました。
これに亜硝酸ナトリウム水溶液を加えて塩化ベンゼンジアゾニウムにした後、液を二つに分けました。
片方は冷やしておき、片方は加熱。
加熱すると気泡が発生。
塩化ベンゼンジアゾニウムが分解して窒素が発生し、フェノールが生成します。
水酸化ナトリウム水溶液を加えてナトリウムフェノキシドにしました。
そして、さっきの冷やしておいた塩化ベンゼンジアゾニウムと、ナトリウムフェノキシドを合体!
すると赤褐色の沈殿ができました。
これがアゾ染料のp-ヒドロキシアゾベンゼンです。
ろ過して乾燥し、茶色の粉末を得ました。
というわけで無事ベンゼンからp-ヒドロキシアゾベンゼンの合成に成功しました。

たむ
