火薬の作り方【火薬爆薬講座①】

火薬を作るために必要な条件はなんだろうか。そもそも火薬とそれ以外の物質の違いは?燃焼と爆発は何が違う?一つずつ解説していこう。

まず、爆発というのは燃焼の一種だ。燃焼の中でも特別なものを爆発という。なのでまず燃焼についておさらいしよう。ものが燃焼するためには3つの条件がある。①可燃物、②着火源、③酸素だ。多くの有機物や、炭素、硫黄などは可燃物だ。だが基本的に酸素が無いと燃えない。酸素の代わりに塩素とかでもいいけどそれは特殊な例なので今回は言及しない。

可燃物と酸素がある状態で着火すると燃焼が始まる。メラメラとしばらく燃えて、可燃物か酸素のどちらかが無くなると燃焼は終了する。鉄のような金属でも細かい粉末や繊維状のものは燃やすことができる。中学の実験でスチールウールを燃やしたことがあるかもしれない。その時、燃えているスチールウールを酸素の中に入れるとより激しく燃焼し、スチールウールは燃え尽きて反応はより速く終了する。酸素がたくさんあるほど反応は速くなる。燃焼のうち、反応がめちゃくちゃ速いのが爆発だ。

可燃物に対して酸素がたくさんあると爆発する場合がある。とはいえ固体や液体の可燃物は表面しか燃えないので中まで一気に燃焼させるのは難しい。

それに比べて可燃性のガスならば酸素と混合することで簡単に爆発させることができる。水素と酸素を混ぜて爆発させた経験があるかもしれない。また、ガスでなくても反応する表面積を増やしてやれば爆発することがある。酸素中にアルコールを噴霧して着火すれば爆発するだろう。小麦粉を酸素中に飛散させて着火しても爆発する可能性がある。これはいわゆる粉塵爆発だ。このように、普段は爆発しない物質であっても十分な酸素の中で一気に反応するようにしてやれば爆発する。しかしこれらは可燃物が爆発しただけであって、アルコールや小麦粉は火薬や爆薬とは呼ばない。では火薬や爆薬とはなんなのか(火薬と爆薬の違いは後で説明するとしてとりあえずどちらも火薬と呼ぶことにしよう)

火薬は上記のように酸素と混ぜたり表面積を増やしてやらなくても着火するだけで爆発する。なぜこんなことが起こるのか。表面積の問題はまだしも、火薬は酸素無しでも爆発する。燃焼の条件満たしてないじゃないか!と思うかもしれないが、実は火薬は自身の中に酸素を持っている。

火薬には色々な種類があるがまずは古くからある黒色火薬を紹介しよう。黒色火薬は炭素、硫黄、硝酸カリウムを混ぜたものである。炭素と硫黄は可燃物だ。硝酸カリウムはそれ自体は燃えないが、コイツが酸素の代わりになっている。化学式はKNO₃で、酸素が含まれていることが分かる。コイツは加熱すると熱分解して酸素を発生するし、熱分解させなくても酸化剤として働く。酸素の代わりに硝酸カリウムを使うことで可燃物が速やかに反応して爆発するわけだ。硝酸カリウムは固体だから酸素ガスよりも効率よくたくさん可燃物と混ぜることができる。よりコンパクトにお手軽に爆発を起こすことができるようになったわけだ。

表面積が大きいほど速やかに反応するので、粉末は細かいほど良いが、あまりにも細かいと混ぜている最中に爆発して死ぬ。というか日本ではこれらを混ぜて火薬を作った時点で違法なのでやってはいけない。爆発させなくても作った時点でアウトなのだ。持ってるだけで逮捕。麻薬と同じようなもんだ。もし爆発で遊びたいなら水素を使おう。ガスなら合法だ。あれは火薬じゃないから。

さて、黒色火薬の他にも色々な火薬がある。硝酸カリウムじゃなくても酸素を供給するものなら代わりに使えるので、それを可燃物と混ぜれば火薬の完成だ。例えば酸素源として硝酸アンモニウム、可燃物として燃料油(軽油や灯油)を用いたものをアンホ爆薬(Anmonium Nitrate Fuel Oil explosive : ANFO)という。似たような組成のもので硝酸アンモニウム水溶液と燃焼油を界面活性剤で混合したエマルション爆薬もある。酸素源として液体酸素を使うものもある。可燃物として炭素とアルミニウム粉末を使い、液体酸素を染み込ませたものを液体酸素爆薬(Liquid oxygen explosive : LOX)という。

このように酸素源と可燃物を混ぜれば簡単に火薬が出来る。もちろんいずれも許可なく作れば逮捕なので絶対にやってはいけない。ちなみに上記のような硝安系爆薬は着火しただけでは爆発せず、別途起爆薬が必要だ。

これまで紹介したように、自身の中に酸素を持ち、ものすごい速さで燃焼(=爆発)するものが火薬と呼ばれる。爆発が恐ろしいのは一瞬のうちに全てのエネルギーが放出されるところだ。燃焼と爆発の違いは例えるなら砂利を1粒ずつ1000粒投げつけられるかデカい岩1個投げつけられるかの違いのようなもので、砂利1000粒とデカい岩1個の重さが同じでも後者の方がヤバいのが分かるだろう。燃焼ではメラメラと燃えながらゆっくりとエネルギーを放出するが、爆発ではそのエネルギーが一瞬で放出される。たとえ燃焼と爆発の総エネルギーが同じでも一気にエネルギーが放出されるので爆発は危険なのだ。黒色火薬をゴリゴリ混ぜている最中に爆発したら何が起きたかも分からない一瞬のうちに指がちぎれて無くなっていることだろう。

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みくあす管理人プロフィール
映える化学実験を求めてMyラボで遊んでる人。毒劇物取扱者及び危険物取扱者(甲種)の資格所持者。

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