[第12回おうちラボで実験してみた]温度で色が変わるサーモクロミック物質を作ってみた。2

〈実験〉無機合成化学・錯体化学

みなさんこんにちは。
前回の実験記事ではお湯で温めると黄色から赤橙色に変色するサーモクロミック物質、テトラヨージド水銀(Ⅱ)酸銀を合成しましたが今回はビス(ジエチルアミノ)テトラクロリド銅(Ⅱ)酸塩を合成していきたいと思います。前回が結晶構造の変化に伴う変色なのに対して今回は錯体の配位構造の変化に伴う変色です。早速合成していきましょう。

●実験
※注意
ジエチルアミンは皮膚腐食性を有します。濃塩酸は皮膚粘膜刺激性・腐食性を有します。塩化銅(Ⅱ)は重金属毒性を有します。ジエチルエーテルは麻酔性と引火性を有します。いずれの試薬も薬傷、失明の危険性があり、重篤な事故につながる恐れがあります。安易な真似は控えてください。実験者は白衣、保護眼鏡、手袋を着用し、必要に応じて局所排気設備を使用しています。

材料
・ジエチルアミン
・濃塩酸
・塩化銅(Ⅱ)
・エタノール
・ジエチルエーテル

器具・装置
・100ml丸底フラスコ
・側管付き滴下漏斗
・吸引ろ過器
・マグネチックスターラー
・ウォーターバス
・ロータリーエバポレーター
・冷却水循環装置
・水流式アスピレーター
・マントルヒーター
・減圧デシケーター

①ジエチルアミン14.63gをフラスコに、濃塩酸17.7mlと水25mlを側管付き滴下漏斗に入れて反応装置を組み立てる。

②水浴で冷やしながらゆっくり塩酸を滴下していき中和を完了させる。

③反応液を60〜80度で加熱して水を飛ばし、結晶を析出させる。

④粗結晶を吸引ろ過で回収する。

⑤粗結晶にエタノール20mlを加えて加熱撹拌し溶解させる。

⑥室温冷却して析出した精製ジエチルアミン塩酸塩を回収し、減圧デシケーターで乾燥させる。

⑦ジエチルアミン塩酸塩4.4gとエタノール30mlをフラスコに入れて湯浴で加熱しながら溶解させる。

⑧塩化銅(Ⅱ)3.4gを⑦のフラスコに入れて攪拌する。その後80度で5分間加熱撹拌する。


⑨反応液が入ったフラスコをロータリーエバポレーターにセットして溶媒を留去する。

⑩溶媒留去後にジエチルエーテル20mlを加えて撹拌する。結晶が析出する。

⑪析出した結晶をジエチルエーテルで洗浄しながら吸引ろ過で回収する。

⑫減圧デシケーターで乾燥させる。

⑬乾燥後バイアル瓶に移し、湯煎してサーモクロミズムを観察する。

今回はお湯で温めると緑色から黄褐色に変化しました。サーモクロミズム特有のじわっと色が変わる様子は見ていて飽きません。こちらも可逆変化なので何回でも遊べます。
それでは次回の実験までさよなラジカル。

えざお

【参考文献】
お湯で変色するサーモクロミズム化合物

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えざお

えざお

記事執筆担当 アングラ化学部 バイオ部プロフィール
化学部・バイオ部のおうちラボケミスト兼バイオハッカー見習い。まだまだ勉強中の青二才。一応環境分析化学専攻だったりする。有機化学が好き。自信は無いのでどうかお手柔らかに!

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